ごあいさつ
春四月、一面に広がる桃の花の中を歩くと、こんなに美しい風景の中に身を置ける幸せに毎年のことながら心満たされております。 可愛らしく、美しい花からやがて甘く瑞々しい桃が熟し、日本全国、近年は海外の方にも注目されている笛吹市一宮の桃。 この地が、生産量日本一を誇る生産地になったことを昭和の初めの頃、桃栽培を始めた先祖はさぞ驚いていることと思います。
この地は、扇状地の中程に位置しています。 扇状地は水はけが良く土壌も肥沃なため果樹栽培には最高の土地です。 この地の特性を生かし、さらにこの土地の弱点でもある土地の保水力を保つ草生有機栽培法を研究し、桃栽培に取り入れた父秀秋、今やこの土地ではほとんどの農家がこの栽培法で生産しています。甘く瑞々しく美味しい桃は扇状地の地形と、この草生有機栽培法から生まれています。
桃畑の春一番の仕事は、2月中旬からの蕾を間引く摘蕾作業からです。 この時は桃の木に「今年も甘く美味しく実るよう精一杯お手伝いするから、よろしくね」と声がけから始めます。 そして収穫が終わるとそれらの樹々に「今年も立派な美味しい実を付けてくれてありがとう」と一礼して畑を去ります。 畑の土も、樹々たちも家族のように大切な存在。この慈しみの中で育てた桃、ご縁を頂きました皆様に召し上がって頂けますこと、大変嬉しく思います。
近年は異常気象が毎年のように繰り返され、果物栽培には厳しい状況が続いています。 しかし、先代同様、知恵と工夫で美味しい桃の生産が維持でいますよう努力を重ねていきたいと思います。 今後ともよろしくお願い致します。